Cloneko先生流(?) 講義の作り方

こんばんは。元アイカレ講師のClonekoです。

この記事はりゅう君がやってることになっているIT College Okinawa Advent Calendar 2019の6日目の記事です。

昔々講師をしていた時にどんな風に講義を作っていたか。っていう話でも書きたいと思います。 ここで言う講義は1時間単位の話ではなく「期」を単位とする講義です。

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講師が講義でやること

講義で絶対やらないといけないこと

講師が講義で絶対やらないといけないことは極端に言ってしまえば1つだけです。

  • 成績をつけること

これをやらないと学生は単位を得ることができないのでこれだけは何があっても絶対やらないといけないです。なので学生を遊ばせて講師は寝てても成績さえ学校に出せば一応はどうにかなります。

うそ。なりません。確実に学生から学校にクレームです。怒られるどころか給料払ってもらえないはず。。。でも多分これが極端にいえば絶対やらないといけないことです。

講義でやらないといけないこと(真面目版)

真面目に書きます。

  • 授業を通じて何かしらの成長をさせる
  • 成長したかどうか評価して成績をつける

の2つです。この2点についてどのようにして作っていくか細かく掘っていきます。

講義の作り方

授業を通じて何かしらの成長をさせる

講義の基本は授業です。なので授業をどういう風に作っていくのかっていうのが結構キモになってきます。 アイカレではほぼ無いのですが、「カリキュラムが事前に用意されていてそのとおりに教えなさい。」っていう方針のとこもあるかもしれないですが個人的にはそれはつまらないのでやらないです。

イカレの授業の基本パターンは「知識を得る」と「スキルを身に付ける」です。両方組合せたパターンもありますが、今回はこの2つにわけて説明します。 「知識を得る」パターンはわかりやすい奴だと資格試験系の講義。「スキルを身に付ける」パターンはプログラミングや演習を伴う実際に手を動かす奴です。

「知識を得る」パターン講義の作り方

知識を得るパターンの講義はだいたい「教科書」があります。実技系ももちろん教科書使うのですが教科書の重要度が全然こっちのほうが上です。

なのでまず講義が始まる2週間くらい前には教科書を貰います。 実技系の教科書と違ってだいたいの場合は資格試験に合わせて教科書を選定するので調達が遅くなるっていうことはあまり無い気がします(闇)。

もらった資料をマインドマップでまとめる

もらったらもちろん全部通しで読むのですが、僕の場合は目次を全部マインドマップ(デジタル)に書いていきます。 Network+の教科書みたいな範囲広くて奴だとマインドマップのノード(枝)が大変なことになるのですが、教科書のなかでこの見出しは別のあの見出しと関連しているよなーとか関連性を表記するのが簡単(矢印ひっぱるだけ)なので、 講義する時もここのページでやったよなー?まさか覚えてないってことはないよなー?って煽るのに使えます。

あと目次の下にここではこの話をしないといけない。とか、ここでは実技演習を入れて理解を深めさせよう。とかそういうことを書き込んでおけば忘れずに伝えたいことを伝えることもできます。

ここで「教科書に直接メモとして書き込んどけばいいんじゃね?」って思った人もいるかもしれないです。それをしないのには理由があって、教科書に直接書き込むと一方向にしかメモを連続的に眺めることができないのですが、 マインドマップで書いておくと平面的にメモや関連性を見ることができるのでこっちほうが直感的で好きです。

その他にもデジタルでマインドマップで書いておくことのメリットとしては不要なツリーは閉じておくことができることです。

1章: ほげほげ
1-1: hogehoge
1-2: hogehogehogehoge
2章: ふぉおばあ
2-1: foobar
2-2: foobarfoooooooo

みたいなツリーがあったとしたら1章はおわったから見る必要ないから閉じておく。と2章の内容だけ表示することができるので楽(視界に入る情報量的に)です。

あとは章単位でのメモ(この章はどれくらい時間かけたい)とか書くのにも便利だったり、章単位でここは理解が足りてなさそうだから1章と4章を重点的に復習しよう。っていうように「章」単位で物事を考えやすくなるので個人的には好きです。

手を動かすことが可能なことは可能な限り手を動かさせる

さっきもチラっと書いたのですが手を動かすことができることは可能な限り手を動かさせるようにしています。

  • ネットワーク系の講義だと「ネットワークが繋っているかどうかを確認するにはpingというコマンド使います」みたいな説明があったら実際にpingを打たせるし、
  • ファイヤーウォール(L3・L4)はインバウンドとアウトバンドを設定できる。ってなったら実際に学校にあるファイヤーウォールを持ち出して設定させてみたりするし、
  • パッチパネルがあると配線楽になるよ。って記述があったら実際に Aliexpress で3000円くらいでパッチパネルを買って実際にケーブルをバチンバチンはめさせてテスターで通過確認させたり
  • 1Uのサーバーを4台くらい持たせて、クラウドで4台マシンのインスタンスを立ち上げることはこの物理サーバー4台を買ってきて設置して設定して。ってやるのと同じだぞ!っせやってみたり

とか。 学校のリソースと(ポケットマネーの)予算と授業時間が許す限りできるだけ手を動かせるようにしていました。

資格試験の講義は教科書を最低3周する

そのまんま。教科書を最低3周は読みながら説明します。それなので一般的な講義と比べると教科書を進める速度は超ハイペースです。だけど1回の説明で覚えられるならいいけどそれより超高速で3回説明したほうがいい気がします。

「気がする」で片付けるのもよくないので一応理屈を書いておくと、

  • 1周目で「この資格試験はこういうことを理解すれば合格できるんだ」っていうのをうろ覚えさせる
  • 2周目でうろ覚えしていたものをちょっと定着させる
  • 3周目で定着できていないところを補完する
  • あとは授業以外のとこで自分で教科書繰り返し読んでもっと定着させてくれ

という感じ。昔(?)「教科書7回読み」っていうのが流行ったんですが、それの序盤の部分を授業でやりつつ解説を入れていっている感じです。

東大首席が教える超速「7回読み」勉強法 (PHP文庫)

東大首席が教える超速「7回読み」勉強法 (PHP文庫)

 

このやり方が合う人も合わない人もいるので万人に合う方法では多分ないのですが、この講義スタイルにしてから結構合格率高かった気がします(気がするだけ)。

試験対策でカジュアルに模擬試験をできるようにする

試験慣れしておいたほうがいいのは当然なんですが、問題集を開いて…開くだけでダルいっていうのもよくわかるので、できるだけ気軽に模擬試験をできるような環境を作ります。

最初はCLI(!?)で模擬試験をできるような仕組みを作ってサーバーにsshさせてやらしてました。

途中からブラウザベースで模擬試験をできるような仕組みを作ってました。3年くらい前に31日間プログラムを毎日書くってのが流行った時に作ったもので、サーバーレス構成なSPAという(以下関係ないので省略)

最終的にこれを成績つける試験に使ったりもしてました。

「スキルを身に付ける」

スキルを身に付ける講義は…基本的に講義内容を全部自分で作ります。教科書コピって演習させてもいいんだけど、だいたい納得のいく教科書なんてものは存在しないので…

基本方針は昔のハカチャンでしゃべった内容なのでそこみてください(書くのがめんどくさくなってきた)

qiita.com

成績をつけること

成績をつける方法は基本は

  • 資格試験は合格したら優。不合格なら不可。2回目受験して合格したら可。(例外もあり)
  • それ以外は普通に試験する(試験問題は基本全部自分で作る)。

なのでそんな書くことないです。

その他やってること

成長を促すための講義なのですが、学校というところの特性上どうしても「講師と学生の関係」というがの発生します。ここでファシリテーション的手法をごにょります。

それなので「講師と学生の関係」を作るにあたって「リーダーズインテグレーション」という手法を講義の最初に毎回やります(同じメンバーに対する講義であっても講義の内容…というよりは「期」が変わるたびにやります)。 それは何かっていうと大雑把にいえば学生側は匿名で講師に対して「講師について知っていること」「講師について知らないこと(聞きたいこと)」「講師に知っててほしいこと」「学生がこういうことをできるよ!」と伝えるワークショップです。

学生の意見を鵜呑みにはしないにしても吸い上げたり、学生との関係性の構築としてはすごく有用なワークショップだったと思っています。興味のある人はぐぐってみてね。

次に振り返り。だいたい変形のKPT(個人のKPT(「良かった点」「改善すべき点」「挑戦する点」)とクラスとしてのKPTを同時に書いていく)するんですが、そこそこ効果あったのではないかと思っていました。 実際卒業してから会社でKPTをやることがあったという卒業生もいたのでその慣れとしてはいいのかも。。。

最後に講義フィードバック。これは匿名ではなくメールで講義の感想と「講義で改善してほしいところ」を書いて送ってもらってました。KPTみたいなワークショップでやると書けないシャイな人もいるので個人間で伝えることもできるようにしておくのも大切だったかと思ってました。

ボドゲ

Clonekoせんせー講義の時のボドゲやってたのは書かないの?って言われそうだけどあれはチームビルディングの一つなのでそれ以上の意味はないです…(効果はものすごくあるけど)

まとめ